ココの薬局カフェ 

薬局カフェでごゆるりと

薬剤師が家に薬を届けてくれる 実践編

こんにちは健康応援団ここです。

 

先日私の薬局は患者さんのお家に伺ってお薬をお渡しする在宅をやっている薬局というお話をしました。

 

この話を友達にしてみたところみんな意外と知らなかったのでびっくりしました。

今日は、私が患者さんの家でどんなことをしているかご紹介したいと思います。

 

実際の在宅を疑似体験してみよう

準備しているもの

  ・その日に処方された薬

  ・血圧計、体温計、パルスオキシメーター、消毒用エタノール、新しいおくすり手帳、セロテープ、ホチキス、小さなビニールパック(バラバラになった薬をとりあえず入れたりする)、携帯電話(体調変化や処方の変更・追加希望など医師や訪問看護師、薬局にすぐに連絡を取るため)などなど

  ・必ず靴下をはいて。

✳︎患者さんのお宅に上がるので自分の足でお宅を汚さないため。

実際は高齢者の方も多く靴を揃えるなどの基本的なマナーも重要。

家の様子を確認

 お宅の匂いや状況が変わりないか確認。

玄関の掃除や靴などが前回と比べて変わりないか

いつもの通り洗濯が干してある、もしくは畳んであるか

人が来るときのお茶やお菓子の準備があるか

(もちろん、お茶やお菓子は負担になるので出さなくて良いとお伝えはしているのですが、ご高齢の方はどうしても準備してくださいます)

日常的にできていたことが継続されているか?認知症の兆候がないか?だけでなく、

本人ができていると思っていても機能が低下していないかを確認します。

 

バイタルサインのチェック

まずは本人の様子の変化を確認

顔を洗っているか、

服を着替えているか

尿臭・便臭がしないか

歯を磨いているか、いつもの入れ歯を入れているか

髪の毛にフケなど不潔がないか、爪は切っているか、などなど観察します。

 血圧を測る

朝のデイサービスで測っていることも多いのですが、夕方の血圧を測ることで

薬が効いているか確認できます。

 

患者さんと近づくタイミングで、薬の副作用を確認

腕や体にあざはないか(薬の副作用、転倒などの確認)

皮膚の弾力や白目の状態(黄疸がないか)

唇の震えといった薬の副作用の兆候

皮膚の乾燥状態から脱水の傾向がないか、などなど観察します。

✳︎薬剤師が血圧を測ることについて

医師以外のものが患者の体に触れることについて、医師法違反になるか?

 

医業について医師法第17条には医師のみが医業を行うとありますが、平成17年厚生労働省医政局長からの通知(医政発第0726005号)での医業の解釈により、

医業とは「医行為」の「反復継続」として解釈する一方、医師が治療を目的として行うもので医師が専門的な知識や技術をもって行うのでなければ患者さんに被害が及ぶことが懸念されるのものではない


とされており、血圧・体温・SPO2などの測定や軽微な創傷処置、外用薬の塗布や貼付服薬の補助などは「医行為」でないものとしてあげられています。

 日ごろのデイサービスでの記録をチェック

日々の参加記録

デイサービスのプログラムに積極的に参加しているか、ほかにも

ほかの人から見た患者さんの状態を知ることができます。

清潔の状態 風呂に入っているか、入りたがらないか 認知の状態 などなど

 

日中の血圧

 薬局の訪問は午後が多いため、午前中の血圧を知ることは重要です。

 デイサービスであれば計測時間もわかるので貴重な情報です。

 

体重

体重はなかなか家では計らない高齢者や重度の障害の方も多いため、大事なデータです。

 

 薬を渡す

飲み忘れ、在庫の確認 

 あれば、なぜ飲めなかったか、こちらが支援できることがないか、

 飲まなかったことでの体調不良や効果不良がでていないか

 

変更があった薬の説明

 変更の必要性や薬効、これを飲むと今後どうなるといった予測を伝える

 副作用のでる可能性のある薬はでるであろう頃を見計らって連絡を取り、体調に変化がないか確認する

 

くすりの配薬(必要な人のみ)

薬カレンダーや薬ボックスにセットします。

  

 薬剤師のバイタルサインからわかること

前述にもあるように、薬剤師は血圧を計ったり、酸素飽和度(SPO2)を見ることで薬の効き目や副作用を察知しています。

具体的にどういったことが分かるのかまとめてみました。

 血圧  

薬の効き目や副作用の確認、不整脈、脈の速さなども重要

体重  

体重を実際にその場で測ることはほとんどありませんが、重要なデータです。

体のむくみがないか、身長と活動量と合わせて1日の摂取カロリーも計算します。

咳が続いている場合、痰がたまっていて出せないのか、空咳といって乾いた咳なのか判断する

腸    

通じがない場合におなかが動いているか

まとめ

お宅に伺うとその人の話だけではない生活のすべてがわかります。

毎月伺うことでいつもと違う兆候やサインを見逃さず、くすりや治療につなげます。

家族関係も見えてきます。

病院に来れない方は地域や家族、社会でも孤立しがちな存在です。

姑の部屋に入れない、おじいちゃんが薬を飲んでいないようだが本人が話を聞いてくれない、ふらふらしているけど薬の飲みすぎではないか?

いろいろな相談があり、専門職としてお宅にあがることで患者さんも心を開いて

相談してくれることがほとんどです。

そして実際は困っていてもどうしたらいいかわからなかった問ことがほとんど。

ぜひ、気軽に薬剤師に相談してください。

初めはこのサービスをつかっていなくてもお宅に行ってお話を聞くこともしています。